平成30年4月1日以降に適用される小規模宅地の特例の改正について
概要
平成30年4月1日に、改正小規模宅地の特例が施行されました。
小規模宅地の特例とは、個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに「被相続人やその生計一親族」が営む「事業」又は彼らの「居住」の用に供されていた宅地があり、それを相続税の申告期限まで保有している場合には80%ないし50%の減額評価が認められる制度で、相続税の申告において広く利用されています(表1参照)。
今回見直しとなったのは特定居住用と貸付事業用の部分で、具体的には次のような改正となりました。
本稿では、そのうち特定居住用の小規模宅地の特例の改正についてご紹介します。
特定居住用宅地等の小規模宅地の特例の改正
特定居住用宅地の特例とは、①被相続人および②被相続人と生計を一にしていた相続人等の自宅(いずれも主たる居所に限る)の敷地に適用されるもので、取得者ごとに特例の適用可否が定められています。
一般的なケースに絞って、どのような場合に特例が適用されるかを示したものが次表になります(その他、取得者の国籍について特例の適用に制限が設けられておりますが、ここでは割愛させていただきます)。
今回の改正では、いわゆる「家なき子特例」について一部制限が加えられることになりました。
「家なき子特例」とは、持ち家に住まない相続人等(遺贈者を含む)のうち、上の表の①~③の全ての要件を満たした者(黄色マーカーで示した部分)が被相続人の居住の用に供されていた宅地を相続した場合に、相続財産の額からその評価額(最大330㎡まで)の80%を減額できる制度です。
たとえば、「夫婦共々持ち家に住んでいない長男が、一人暮らしの親の自宅敷地(330㎡未満、相続税評価額1億円)を相続した場合に、その敷地を相続税の申告まで売らなければ、2000万円の相続税評価で済む」ことになります。
小規模宅地の特例の本来の趣旨は、被相続人亡き後の「同居親族」の「居住」の保護であり、過去の税制改正の変遷を見る限り、持ち家のない相続人等について、同居者に準じて「居住」の確保を図ったものと思われます。ですから、法の趣旨からすると、既に「居住」を確保している者に、被相続人の自宅取得に際し、税額負担の便宜を図る必要はないこととなります。
にもかかわらず、本特例の要件を満たすためだけに、
① 遺言で被相続人の自宅を相続人の子(被相続人の孫)に遺贈し、その孫に「家なき子」特例状態を創出させる
② 高齢の親を持つ相続人が、既に自宅を保有しているにもかかわらず、転居することなく、形式的に親族や同族法人等に持ち家を買い取らせて「家なき子」状態を創出させる
といった、法の趣旨を逸脱するような事例が頻出するようになったため、本改正により、次のような者は特例を受けられないことが明記されました。
①相続開始後3年以内に3親等内の親族や同族法人の保有する家屋に居住していた者(相続人と同居している孫が遺贈された場合に非該当となる。)
②今住んでいる家の所有権を昔持っていた者(親族や同族法人等の関係者に買い取らせた場合に非該当となる。)
特定居住用の小規模宅地の特例は、その効果が絶大であることから、様々なスキームとそれを封じる法改正の攻防が展開され、さながらいたちごっこのような状況となっています。
今後も、改正やその経緯を見極め、いざという場面に対応できる準備をしておく必要があると思われます。
法改正がありました
2023年4月1日に法改正がありました。
改正の主な内容は、適用要件の厳格化です。
具体的には、以下の点が変更されました。
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相続開始直前における居住要件の追加:従来は被相続人と生計を一にしていれば、相続開始時に被相続人の居住用宅地に住んでいなくても特例が適用されましたが、改正後は相続開始直前まで被相続人の居住用宅地に住んでいることが要件となりました。
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3親等内の親族要件の追加: 従来は被相続人と同居していれば、被相続人との血縁関係は問われませんでしたが、改正後は被相続人の3親等内の親族であることが要件となりました。
これらの改正により、家なき子特例の適用要件が厳格化され、以前よりも適用できるケースが少なくなりました。
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